携帯の先 #ナースの夜咄3

ポキンと心が折れてから
毎日が辛かった

仕事の帰り道
一人でいたい
一人が辛い

毎日毎日
駅までの20分が耐えられず
実家の母に携帯をかけた

内容のない
とりとめのない連絡を
どこにも出かけず
母は待っていてくれた

蒸し暑い濃い空気
緩やかな下リ坂
携帯からの母の声

その時間
心は実家に帰っていた

#ナースの夜咄
心が辛いときには
安全に逃げる場所と時間が
必要だと思います

母は亡くなりましたが
母の声が聞きたくなります